cogito, ergo sum:チトオサ





俺たちはただ、想い合っていただけなのに。
通じあうと何故こんなにも苦しくなったのだろう――…


「罪悪感。やろうなぁ…」

ポツリと呟いた言葉は狭い部屋の天井に消えていった。
隣に眠る暖かな体温を感じながら心はひんやりと冷えていく感覚。
これを罪悪感と呼ばずになんと呼ぼうか。
少なくとも俺のボキャブラリーの中ではこう呼ぶしかなかった。

―― 千歳。

声に出さずに口の動きだけで俺が愛している人物の名前を呼んだ。聞こえるはずのない声に彼は少し身動いだ。

教師と生徒という間柄、しかも男同士という事もふまえて、俺たちは十分に道徳に反した生き方をしている。
それに15歳には大きめな体を持つ千歳でも未だ中学生だ。
こんな事で躓き、転び、人生をふいにして良いような人間ではないはず。

教師として大人として彼を突き放さなければいけない立場なのに、俺はなんでこの繋がれた手を離せないのだろう。
俺の名前を呼ぶ優しい声や包み込んでくれる暖かな体温を跳ね返せないのは何故だろうか。


「我思う、故に我あり」
昔の人は良く言ったものだ。

俺は千歳を想う事で自分の存在を確かめようとしていたのではないのか。

再び、冷たい罪悪感で締め付けられた心を一人慰めるように千歳に体を寄せる。

――何時かは離れないといけないならば…今だけは、この冷えた体を暖めていて欲しい。

前を見ないようにきつく目を瞑った。










明人から相互記念にいただきました!
相互&萌文サンクス!←