■端的にいうと、柔兄視点の矛兄考察。柔金風味なのは私が柔金好きすぎてアレだから。
■矛兄は、ありとあらゆる面で廉造と似ているといいなあ。いや似ているに違いない。外見はきっと似てる。柔兄とも似てるけど、矛兄と瓜二つであってほしい。柔兄はどちらかというと八百造と瓜二つだよね。この話はまあ、4巻の人物紹介で八百造と柔造があまりにも似ているから爆発したんだけども。ついでに言うと矛兄と廉造はおじいさんと似てそうだよね、私の頭の中ではね。八百造と柔造は根本あほやけど全力努力でカバーするタイプ。矛兄と廉造は身体能力に天性の才能があるけど本心から信じた物じゃないと努力できないタイプ。で、二人とも良く言えば平和主義者、悪く言えばへたれ。しかし志摩はみんな、いざという時は正義感で動く脊髄人間だと思うんだよね。酷い言い様だけどね。金造はちょっと異端くらいでいい。志摩は金造以外裏側が重くていい。金造はバカでいい。もちろん矛兄と廉造、そういった生活とか思考もだけど、好みとか素振りも似てるといいね。矛兄と廉造は自分に過度に干渉してくる柔兄が苦手だと思うと禿げた。柔兄は二人とも大好きだけど避けられてるって分かってる。廉造に矛兄を投影しても萌える。実は八百造も投影してたりしてね。って事は、丁度坊とも同い年やし、兄弟的イレギュラーではあるけど廉造が志摩を継ぐ可能性…っ誰か楽しみにしてる賛同してくれる方頼みます!キリクも受け継いだしね!あ、因みにこんな話の一片も原作にはありませんでしたね。原作の柔兄格好良すぎてどうしたらいいか分からなくて、結論この妄想です。話の辻褄が怪しいのは思い付くまま連ねたからであります。所謂一つの個人的メモです。矛兄と柔兄の関係とか矛兄の人物像とか青い夜の事とか思い付く限り思い付くままです。あ、嘘です思い付く限りいったら永遠終わりませんね。そういや青い夜の時って京都組はもう生まれていたんでしたっけ?コミック長期出張中(青祓ブーム友人巻き込み計画ともいう)なので確認する術がない。坊と廉造を守ったって事は生まれてた?の?ん??みたいなね。まあいいやただのネタ固め第一歩だから。原稿一段落したら考察しようと思う次第ですね。つか原稿進んでないんですがね。どう考えても時間がゲヘナに吸い込まれていってんやけど。
以上前置き。





     青に取り残された次男



長男は俺の前を生きていた。

その矛兄が自分の事を好いていない事など、随分昔から分かっていた。といっても俺の人生の比率からであって、幼かったあの頃で随分前といって結局は少し前の事だったかもしれない。
兄は俺と同じく勉学には向いていなかった。確実に実践派だった。しかし兄は俺と違い、それを隠そうとはしなかった。随分と無気力に見えたし、かつ兄は兄自身その背中に背負う物にうんざりしていたのだろう。それはきっとお父も気付いていた。しかしそれに対して気付かないふりを突き通していたのは、志摩の血のせいだろう。お父には志摩を繋ぐ義務がある。
加え、兄は随分と世界を偏見的に見ている節があった。仕方ないだろう。明陀を支える一角を担う。しかし兄はそれに向いた人間ではなかったのだ。

かといって、自分がその位置を狙っていたのではない、寧ろそれは俺もご免被りたかった。しかし、もし何かがあってその座が俺の物になったとしたら潔く受け入れるつもりでもいた。次男にも分かっている、そこは簡単に突き動かせたりしない。不動のものであると。それが不安定なものであれば、俺達もここにいないかもしれない。

俺が苦手な勉学に励んだのは、ただお父に認めてほしかっただけなのだ。
長男は嫌でも志摩の長男として、お父の視界に入る。そこに努力は必要なかった。それは長男の特権なのだ。
俺はお父を越したかった。別に志摩として、なぞ大層な内容ではない。ただ息子として親父を追い越したかった。それには必要だったのだ。
お母は口癖のように八百造さんの小さい頃にそっくりやわぁ、と言う。という事は生憎矛兄はお父に似ていない事になる。しかしそれを矛兄の前では言わなかった。

矛兄はいつもこの時期になると、月が青い、と呟いた。それを俺が聞いていたと知ってか否か。結局それは分からなかった。
かつ、俺にはその月は何の変哲もない満月で、青さなどどこにも見えなかった。俺の知らない何かの揶揄なのだろうか。陰る雲を見上げるのも程々に、四男が饅頭を持って走り回るのを静止するのが優先だ。

矛兄はいつも、俺の一歩前にいた。息をしていた。身体中に鉛を纏わせたように、矛兄は動けないらしい。

青い月はそれこそ呪いのように、近付く。五男が生まれてすぐ、また。

「月…青いなぁ」

鳥肌が立った。兄は何を見ているのだろう。ただ、その目に写るものが幻想や妄想の類いだとは思っていなかった。
「柔造」
その名前を呼ばれたのもいつぶりだろう。二人で部屋にいても、少ない会話をしても、ほとんど聞かなかったそれ。
「どないしたん、矛兄」
まさか、それが最後とは思わずに。
「めっちゃ青いん、お前には見えるんか」
「…ううん、わからん。俺には」
今となって確認する術などないのだが、兄はどこかで魔傷を受けていたのだと思う。そうとしか考えられない。
兄が勢いよく立ち上がって走り出す。声をかける暇すらなくて、しかし幼い俺の心もざわついて、後を追った。
全く何もない、俺にはいつも通りの明陀だった。しかし兄には別の何かが見えていたらしい。顔色が変わった。
ああなんだ、やはり矛兄も明陀が大切なのか。悠長な考えは一瞬だった。疾風が頬を撫でて、身体中が痛む。砂嵐を突っ切ったような感覚で、擦り傷のような。
「!!?」
思考は停止を通り越して真っ白。青い。世界が。
何だこの青い炎は。
「お父!お祖父!!」
走る兄に追い付くのは一苦労だ。それどころかこの年齢に年齢差。距離は離れていく。

そこからは、よく覚えていない。頭も正常に回っていなかったし、何度も忘れようとしたからだ。
ただ、事実だけは忘れたくても忘れられなかった。
青い炎が祖父に移った。駆け寄ろうとした俺達を止めたのは父の腕だった。それが震えていたのははっきりしている。
他の兄弟や母、他の明陀の人間数人は離れに避難していた。それに青い炎が揺らめいた、その時それは今までに見たことのない形をしていたのだ。父の目が怒りと恐怖と、後は何だろう、それはとにかく怖くて、キリクをひっ掴んですぐにその背中は遠退いた。
俺は、動けなかった。
矛兄はそれから、俺の所には来なかった。
一部始終を見ていたはずのお父は何もかも言わなかった。代わりに、全てを間近で見てしまった金造が、こんなものは背負えまいと泣きじゃくりながら全てを話した。寝れない、と。
お父は一瞬炎にまとわりつかれたらしい。ただ、父にその隙はなかった。父は意図するまでもなく、とても強かったのだ。
跳ねられた炎は、まだ1歳にもなっていない、時期座主の元へ向かったという。真相を知らない俺でも、何かしらの能力に惹かれるようにその何かは動いていたのだと感じた。そこには廉造もいたのだから、何かあれば諸なのだ。
兄はそれを庇ったという。それは本能か、志摩の血か。もっと何かあったのかもしれない。ただ、その炎は到底収まりきるとも思えない器に予想外の憑依をして、完全に行き場を失った。散り散りになった大半は火種を失って、そして消えた。

受け入れられる訳がなかった。そんな非現実的な事。これが例え今からは日常になろうとも。
そのくせ明陀の上層部、いままで可愛がってくれた人達は滅多に減ってしまった。そんな事があってたまるか。泣くのを止めない弟を抱きしめながら、ああこれが虚無感か、とぼんやり思った。兄はいままでずっと、これを感じていたのか、と。

一度だけ、兄が死に場所を探していると感じた事がある。
痛む頭が思考を止めるように促す。こんなとき、矛兄ならどうするだろう。
随分と呆気ないものだ。矛兄は一度くらい俺に面と向かって悪態を吐くべきだったのだ。

随分して泣き疲れて眠ってしまった金造を横目に、自室を抜け出した。父に呼ばれていたのだ。話は分かっている。
こうなる事を予想できていたとしたら、それは兄一人だ。兄はいつからか分かっていたのではないか。
こんなにも泣きたくなったのは始めてだった。








「柔兄!じゅぅぅうううううにぃぃいいいいい!!」
自分を呼ぶ声に意識を戻す。金造の声だ。
意識ははっきりしたのに視界が晴れない。妙な事を思い出して頭痛がする。
「じゅーに?」
ああそうか、やばい。顔を見られないように、近寄ってきた金造を抱きしめる。泣かないと誓ったのに。
「柔兄、そんなんやめてや…そんな寂しそうにぎゅってせんていて」
わざと幼い声を出すのは、きっとアホなりの慰めなのだろう。その細めの肩に顔を埋める。

お父と似ていると、よく言われた。確かに顔は似ていたかもしれない。しかし内面は全く似ていなかった。
お父はサタンを跳ね返す程の強さを持っていた。護るもののあるお父は強い。一方俺は護りたい物があるにも関わらず、きっとサタンに勝てたりしない。俺はただ弱いままだ。

金造の腕に力が籠る。これでは抱き締めたはずが抱き着かれている。
しかし肩の濡れそぼった感覚に漏れたのは苦笑だった。
「何泣いとんの」
「…っ、じゅうに、が、苦しそうやから!」
年甲斐なくずびずび鼻を言わせて泣くこの大人に俺を離す気は毛頭ないらしい。鼻水はつけてくれるな。
「柔兄は、俺の兄ちゃんやねん」
当たり前の事を告げる口が震えていて、
「俺は、困った時、柔兄やったらこんな時どうすんねやろて考えるん」
目頭がまた熱くなった。もういいだろう。なあ。
「柔兄は、矛兄の事好きやったんやろ。」
無意識に縛られていたこの血は、俺の体にも鉛となって流れる。大切なのだ。その足枷が。
自分で継がなくてよかったのに、そんなもの我が侭だ、甘えだと言うように、矛兄はいない。志摩として、最高の死に方だった。けれどそれを受け入れられる程俺は悟った人間でなかったから。

「あの日は、俺のせいやない」
そんなバカげた事を精一杯に吐き出して唇を噛んだ。俺は何もできなかった俺を許すしか、先に進めなどしないのだ。